共用費の削減

【共用照明のLED化】LEDは信頼できる? 何パーセントがすぐ切れるか?

LED化した共用部照明(写真は40Wタイプ。ブログ主の保有物件のもの)

ここで書いてあること


共用部の蛍光灯照明を、LEDに替えたいけど、すぐ切れるんじゃないか?と思われる方がおられるでしょう。LEDの販売ショップのレビューからは、実際の状況がわかりずらく、悪い評価ばかりが気にかかって、ものすごい高い割合で不良品が混じっているのではと思ってしまいそうです。

そこで本ブログでは、著者が保有する物件で、蛍光灯を20W型の直管LEDに交換した場合の、実際の故障率について解説しています。データ数が限られていることと、1ショップで販売されている商品のデータでしかありませんが、一つの事例として参考にしていただければと思います。

LED、すぐに切れるんじゃないの? 世間のイメージ

賃貸物件で共用照明として、長年、使用されてきた蛍光灯照明と比較して、LED照明は消費電力がざっくり言って半分で、使用時間が6から13倍もあるとされていて、まさに、夢のような商品です。

 そんなLEDですが、実は、結構高い比率で不良品が混じっていて、すぐに、あるいはしばらくするとつかなくなってしまうんじゃないか、ということが疑われています。最初から点灯しないのは問題外なのでここでの議論から省いています。

しかし、不良品はどんな製品にも紛れ込んでいるんですけどね。あのトヨタでさえリコールしているくらいですから。

 アマゾンや楽天のレビュー欄を見ると、ある一定の割合で、「数か月で」「1年で点かなくなった」というような否定的なレビューが散見されています。例えば、下記のアマゾンで販売されている、「アイリスオーヤマの20W型のLED直管」の販売ページのレビューには、 これ↓

アイリスオーヤマ LED直管ランプ 20形 工事不要 グロースタータ式器具専用 昼白色 LDG20T・N・7/10V2

同製品のレビューです。

レビューの3パーセントが一つ星をつけていて

「一ヶ月と一週間で消えました」「1ヶ月後、消える」

といった、不具合がレビューで報告されています。

そこで、本ブログでは、レビューではなしに、実際の使用状況で、どれくらいLEDがつかなくなるものなのか、小生の保有物件のLED化した共用照明での、LED照明の故障状況について報告しますので、参考にしてみてください。なお、小生の保有物件では、共用照明をLED化して数年経過しています。

なお、ここでは、日本の大手メーカーが販売しているものではなく、たいていの人が使っているであろう、私も使っている、安価に大量に出回っている、20W型の直管LEDの話を主にしています。小生が購入したのはこれ ↓ @520円(税込)2020年11月現在。

販売店 : ルミーテック
商品名 : T8 直管LED蛍光灯20W形
消費電力 : 9W(20W相当)
発光色 : 昼光色(6000K)
ルーメン : 1100LM
定格電圧 : AC 85V-265V
照射角 : 300°(広角タイプ)
口金 : G13
サイズ(約) : 長さ580mm
寿命 : 50000時間
素材 : アルミ+乳白色ポリカーボネートカバー


(参考) INTERIOR BOOK →蛍光灯の寿命は、3,000~6,000時間


なんとLED照明は、9年も使用できることになっている!

ここで対象としている20W型の直管LEDについて、日本の有名な大手電機メーカーは一応取り扱っているようですが、業務仕様で高価なためか、手軽に買えるホームセンターで扱っているのは見たことがないです。

 ホームセンターで見かけるレベルの商品だと、有名メーカーといってもせいぜいアイリスオーヤマが取り扱っているぐらいです。あとは、数多くの中小の代理店が中国品を輸入販売している状況です。

LED蛍光灯20形直管 LDG20T・D・9/10Eアイリスオーヤマ



 このLEDの寿命の仕様は、多くの場合、40,000時間となっているものが多いです。50,000時間の商品もありました。この40,000時間という数字は、どうやら、「高品質照明用LED光源の性能要求指針」の寿命の要求事項として記載されていて、これに合わせているようです。つまり寿命が40,000時間ないと高品質とは言えないようなのです。JISにも40,000時間の数字の記載があります。

 40,000時間といわれてもピンとこないので、集合住宅の共用部の照明を想定して、実際、何年使えるのかを改めて計算してみます。1日の点灯時間を、仮に18:00~翌 6:00までの12時間とすると、1日の使用時間は、12時間/日なので、40,000時間をこの数字で割ってみると、

<LEDの使用可能年数(40,000時間)>
 40,000時間 ÷ 12時間/日 ≒ 3,333日
 3,333日 ÷ 365日/年 ≒ 9.13年 = 9年と1ヵ月半


と、夜だけ毎日点灯した場合、仕様上はなんと9年以上使えることになっていて、驚異的な寿命です。

これに対して、従来の蛍光灯(寿命 6,000時間)の場合、以下のような計算になります。

<蛍光灯の使用可能年数(6,000時間)>
 6,000時間 ÷ 12時間/日 ≒ 500日
 500日 ÷ 365日/年 ≒ 1.36年 = 1年と4ヵ月

と、1年ちょっとで寿命が尽きることになっています。蛍光灯は、確かにこれぐらいの期間で、端が黒くなって、つかなくなるのは実感しています。

LEDは、あまりにも寿命が長すぎて、その登場からあまり年数が経過していないので、これだけのLEDの寿命の長さをしっかり実感している人は少なく、実際の感覚としては、たいていの場合、

「LED照明はまだ、切れずにずっと使っているよ。でも、中には、たまに1年とかで点かなくなるのもあるみたい」

というぐらいのぼんやりした印象だと思います。

(参考)「高品質照明用LED光源の性能要求指針」(一般社団法人 日本照明工業会)

安物LEDでは、どうやらJIS規格をとってなさそう

LED照明の規格を調べてみると、JIS規格が、下記のように定められていました。

JISC8159-2
一般照明用GX16t-5口金付直管LEDランプ-第2部:性能要求事項

同規格の項目は多岐に渡りますが、ここではあまり細かい解釈は意味がないので、今回問題にしている寿命に関して、今回の関連すると判断した部分のみを抜粋し、以下に示しました。

(1) 寿命 : 定格ランプ寿命は,製造業者等が公表する値とする。
(2) 定格ランプ寿命時点の光束維持率の値は,70 %以上でなければならない。


(1)は、いわゆる、40,000時間のことです。メーカーが公表する値としています。
(2)で、「光束」の意味は単位時間あたりの光の量のことで、単位はルーメン(lm)で表されます。これは、40,000時間使用した後で、使用前の光束の70%を維持している必要がある、ということです。

 これを見ると、ここでの論点の、数年で点灯しなくなってしまうなんてことが頻発していれば、それは、当然、規格を満たしていないということになります。


 そもそも、ネットショップで販売しているレベルの20WLED直管がJIS規格を取得しているのかちょっと確認してみたのですが、ちゃんと調べるのが、かなり大変なので、確認しきれませんでした。ちなみにアイリスオーヤマが発売している20W型の直管LEDは、説明書をダウンロードして確認してみましたが、JIS規格を取得している感じではありませんでした。

おそらく、

・中小販売店で販売されているLED … JIS規格を取得していない → 安価
・大手メーカー … JIS規格を取得している → 高価

というようなことになっていると推測しています。JIS規格は通っていないけど、そんなに高いものじゃないし、例えば1年は無償交換するから許してね、ということで、盛大に販売していると推測しています。すぐに切れてしまうと困る用途(交換が大変な高所のライトとか)では、こういったものは使えないということになります。

(参考)JIS規格 一般照明用GX16t-5口金付直管LEDランプ-第2部:性能要求事項 JISC8159-2

実際の故障状況を報告します。故障率は〇〇%!

 当保有物件の共用部の照明は、すべてLED化をしています(但し、エレベーター照明部を除く)。メーカー品のLED一体型と呼ばれる照明も使用していますが、ほとんどが、前記の、安価な20W型の直管LEDを採用しています。以下で、その不具合の状況をお伝えします。
結果は以下の通りです。

<LEDの故障状況の概要>
・使用本数:80本(内 40W 16本)
・故障本数:4本(内 40W 1本)→ 故障…点灯しなくなる

 →故障率 4÷80 = 5.0 %

上表のように、対象のLED管は80本(こうして合算してみるとかなり、多い!)で、今のところ4本が点灯しなくなっています(交換しました)ので、使用期間を定めない、極めてざっくりとした故障率は、「およそ5%」ということになります。
これは、LED管を20本購入すると、そのうち1本が数年以内に点灯しなくなるというイメージです。

 私の感覚では、最初の頃に、点かなくなってしまう不良LEDが多めに発生して、時間がたつとやがて、落ち着いてくる(切れるLEDは発生しない)、というイメージを持っています。今後、さらに、不良品が増えていくのか、あるいは、もう、落ち着いてくるのかは、注視してみます。

 5%の不良率とは、極めて高いのですが、値段も安いものなので、販売店も、1年間は無償交換してくれるので、まあ、いいかと納得(泣き寝入り?)している人も多いのでしょう。

私も、LEDをつけたけれど、すぐに切れてしまったので1回だけ無償交換してもらったことがあります。但し、送料は自分持ちでした。この返品ですが、1本だけ送る場合、600円程度の商品を普通郵便で数百円もかけて送るわけですから、なかなか返品する人も少ないように思います。残りの不良品のときはめんどくさくで結局交換していませんでした。また、40W管になると製品の長さが長く、送料が高くなるので結局交換してもらわなかったです。この返品保証もあって、ないようなものに思います。

だんだん暗くなってきたかどうかは、よくわかりませんでした

 LEDが短期間で切れずに使えている場合、長期間使用していくと、暗く(光束が低下)なってくるらしいです。今のところ、最長の使用期間のLEDでも、40,000時間の半分も経過していません。自分で見る限り、暗くなったなあという感じはありません。7年とか、相当、使い込んだ場合に気づくことになるのでしょう。

【結果】故障はあるがメリットの方が大きいLED

 5%の不良率は極めて高いと思います。しかし、以下の長所を考慮すれば、LED化したメリットはかなり大きいと思っています。

  1. 今後、5年以上は交換せずに、たぶん使えるだろうということ。
  2. 安価に工事できること(グロー式の蛍光灯装置で直結工事なしで使った場合で、約1000円以下でLED化が可能))
  3. 蛍光灯の頃から比較すると、電気代が大きく節約できていること(年間 1棟あたり ~60,000円減)
  4. 蛍光灯の頃から比較すると、交換(半年に1回とか)の手間が減ったというか、ほぼ、全く交換しなくてよい。
  5. 交換手間代(管理会社から請求される費用。1本3千円も、とる管理会社もあります)が要らない。

直結工事なしの場合は、安定器故障で点かなくなるかも

 グロー式の蛍光灯装置の場合、グロー管を外せば、安定器を介することにはなりますが、そのままLED化でき、とても簡単にLED化ができます。これでもいいのですが、安定器自体にも寿命があるので、LED化したものの、安定器がいよいよダメになってくると、点灯しなくなってしまうので、注意が必要です。

こんな感じで使っていくしかない

 LED照明は、蛍光灯と比較してまだまだ出たての商品です。JIS規格をとっていないような安物LEDだとしても、今後、より製造品質が上がってきて、数年で切れるような不良品も少なくなり、コストも下がってくるのでしょう。

 LEDの不良率が、2本のうち1本が不良とかだと、目も当てられませんが、上記のメリットを考えれば、これぐらいの不良率は目をつむることができます。不幸にも不良品を買い当ててしまった場合は、買い替えることで対応しましょう。

 また、上記の結果は、私が使っている安価なLED管の場合のものですが、東芝ライテックなどのメーカー品の場合にどれくらい故障が発生するのかは、不明です。

どこで購入すべきか?

 LED管は、どこで購入するといいのでしょうか? たぶん、みなさんは、ネットショップで購入することになるでしょうが、多くのLEDショップがありますので、迷ってしまいます。どこで買っても、中国製なわけですが、次のようなことを表記しているショップを目安にするといいでしょう。

(1)寿命の記載があること。たいてい40000時間の場合が多い。
(2)保証してくれる。1年間は、送料は自分持ちで交換してくれるなど。
(3)なるべく、明るいものを選ぶ。20Wタイプだと、1100lm(ルーメン)とかが多い。同じ20Wタイプでもかなり暗い商品を販売しているものがあるので、注意が必要です。
(4)形状を確認すること。両端が出っ張った形状になっていたり、断面形状が円形でなく、楕円形状の商品があり、取り付けられない可能性があります。

 お金に余裕のある人は、既存の蛍光灯を、信頼性があると思われる、日本のメーカー品のLED一体型のようなものに交換するのがいいと思います。

ちなみに、私が購入したのは、下記ですので、参考にしてみてください。 知名度があるので信頼性がありそうな、前述のアイリスオーヤマ品は、@1,800円ぐらいですが、こちらのルミーテック品は@520円とかなりお安いです。


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